長高水族館は2019年1月で開館20周年を迎えました。
長高水族館とは?
水族館部が運営する、入館無料の水族館です。毎月第3土曜日11:00~15:00に一般公開されており、1日で100~700名の来館があります。この他、月に10回程度地域の学校や施設から遠足での来館もあり、地域の環境教育の場になっています。
大きな水族館とは異なり、飼育担当部員による丁寧な解説があることが特徴で、来館者は部員とコミュニケーションをとりながら観察することができます。部員達は生き物の採集や世話だけでなく、公開水族館時に来館者にあわせた対応をすることを通して、多くのことを勉強しています。
水族館の取組は町にも広がり、平成21年から水族館の公開にあわせて、「赤橋自遊空間」が始まりました。平成24年度には、大型のタッチプールが完成し、魚たちがさらに身近になりました。現在は、水族館部員だけでなく、美術部の塗り絵大会、家庭クラブのアクセサリー作り、ビジネスコース生徒考案のパン販売、吹奏楽部による演奏など、長浜高校すべての生徒が、何らかの形で水族館を盛り上げています。
これらの取組は全国的に注目されており、平成23年度には、内閣府特命担当大臣から社会貢献青少年表彰を受賞しました。これ以外にもたくさんの受賞があります。マスコミにも取り上げられることが多く、平成26年度はテレビ、新聞、雑誌等で20回以上の報道がありました。NHKの国際放送(Begin Japanology)では、日本を代表する水族館として、全世界に放送されました。
*どんな生き物がいるの?*
廊下には肱川の生き物(淡水)、水族館手前半分は長浜の海の生き物、奥の半分は南予地方と沖縄の海の生き物がいます。愛媛には温帯域の瀬戸内海、亜熱帯域の宇和海があり、たいへん生き物の種類の豊富な海に囲まれています。現在水族館には、150種2000点を超える生き物が展示されています。
肱川はメダカやカワムツ、長浜の海はドロメやアミウツボ、南予の海ではクマノミやキンギョハナダイなどがいます。最近は、クマノミ類の飼育と繁殖に力を入れており、日本にすむクマノミ類のほとんどを飼育展示しています。
*なぜ水族館を始めたの?*
長浜高校の隣には、昭和10~61年の間、長浜町立長浜水族館がありました。愛媛はもちろん、四国初の水族館として誕生し、多くの来館がありましたが、老朽化により惜しまれながら閉館になりました。長浜といえば水族館、その思いを引き継ぎ、町の活性化に貢献すると同時に、長浜の財産である素晴らしい海と川を活用した教育を行うために、日本初の高校内水族館として平成11年に誕生しました。
*飼育だけじゃないの?*
長高水族館は、長浜高校オリジナルの授業、「マリンアクアリウム1、2」「理科研究」などの授業でも活用しています。例えば、長浜にたくさんいるタツノオトシゴは、絶滅が危惧されています。これまでに授業の取組として、何度も稚魚を増やして放流してきました。また、乱獲の進むカクレクマノミを継続的に増やしており、その繁殖技術を公開することで、保護につなげています。
長高水族館では、海の生き物を中心とした研究を行っています。「カクレクマノミがなぜイソギンチャクに刺されないのか?」その理由の1つが、「カクレクマノミは、体表を高濃度のマグネシウムイオンで覆っているから」であることを世界で初めて発見しました。この研究に取り組んだチーム・ニモは、日本学生科学賞最高賞である「内閣総理大臣賞」に輝きました。そして、日本代表として、intel ISEF 2015(国際科学技術フェア)に出場し、動物科学部門でグランドアワード4等を受賞しました。さらに翌年2016年には、つくばサイエンスエッジで国内ベスト3にあたる「未来志向賞」を受賞し、日本代表としてGlobal Link Singapore 2016に出場、こちらでも見事特別賞を受賞しました。2018年には、高校生ビジネスプラン・グランプリで、クラゲ予防クリームの開発についての発表を行い、「準グランプリ」を受賞しました。長年の研究が実を結び、誕生した「クラゲ予防クリーム」は、2019年4月に発売開始となりました。また、長高水族館をモデルとした漫画や本も誕生しています。たくさんの皆様に支えていただき、長高水族館は生徒たちの主体性を育む教育の場として歩みを進めています。